ハードクレームやカスハラの対応における10の誤解 | 事例を交えて解説します

クレーム、カスハラ、カスタマーハラスメント

最近、不当クレームや悪質クレーム、モンスターカスタマーやいわゆるカスハラ(カスタマーハラスメント)などと呼ばれるクレームへの社会的な注目度が高まっているからか、書籍や動画などで、関連するコンテンツを目にすることが増えて来ました。そのようなコンテンツの中には、例えば、弁護士が法的な責任分界点を分かり易く解説しているものなど、専門性の高い有意義なものもあります。

しかし、中には大きな誤解に基づいたものも少なくありません。大手のネットショップや書店等に並んでいるクレーム対策本の中にも、率直に言って、実際のクレーム対応・カスハラ対応の経験が少な過ぎるとしか思えないような実践性の低い、そのまま真に受けて使えばクレーム対応・カスハラ対応の解決を遠ざける可能性さえあるようなノウハウ本さえあります。

本コラムでは、これまで自分自身でも数百件、部下の対応も含めると数千件のクレーム対応をして来た元コールセンターの品質管理チームマネージャーであり、現役の経営コンサルタントでもある中小企業診断士が、上記の様なクレーム対応・カスハラ対応のよくある誤解について、事例に基づいて具体的に解説します。

ハードクレームやカスハラの対応における10の誤解 | 事例を交えて解説します

不当なクレームやカスハラには毅然と対応する

ノウハウ本の中には、「不当なクレームと判断したら“不当クレームモード”に切り替えて対応する」といった助言を見ることが少なくありません。

しかし、この助言には以下のような2つの問題があります。

  • 「不当クレームかどうか」をどうやって見分けるのか?
  • スキルや経験が相対的に少ない一次対応スタッフに「毅然とした」対応ができるのか?

『【クレーム対策】カスハラ(カスタマーハラスメント)とは | 最新傾向と8つの対応』で解説した通り、サービス業のクレームは、提供プロセスや従業員の接客・言動などの後から検証し難い要素と密接に結びついており、表面的な怒りの度合いだけで悪質クレームまたは不当クレームと評価できるものではありません。また、スタッフの対応に対するクレームの場合、クレームを受けているスタッフ本人が「不当」か否かを客観的に判断することは困難です。現場に「毅然とした」対応を許し、モニタリングの仕組みが無ければ、スタッフにとっては、「お客様が怒っている」という表面的な事実だけで不当クレームにしてしまえるので、反省したり叱責を受けたりする必要が無くなる、という構造的な問題もあります。

また、仮に不当と判断できたとして、それはつまり、確信犯的に過剰な要求や合理的な根拠の無い要求をゴリ押ししたり、威圧的な態度で人格攻撃をしたりしているということであり、難易度の高いクレームである可能性が高いということになります。そのようなクレームに対して、スキルや経験が相対的に少ない一次対応スタッフに「毅然とした」対応をすることは極めて難しく、一方で、全件を責任者が対応するのも本来業務や人件費の観点から非現実的、という問題もあります。

では、どうすれば良いのか?

筆者は、自社にとってのクレームやそのレベルを具体的に定義し、そのレベルに応じて組織的に対応することをお勧めしています。できれば、その定義に沿って簡単に確認できる確認表などがあると、対応がブレ難くなります。
特に、「不当なクレーム」との判断や「毅然と対応」をする場合には、必ず、一次確認結果に沿って責任者や評価委員会などが検証し、組織としての対応方針を決めるべきです。そうすることで、組織として一貫性と合理性を持って不当クレームやカスハラに該当するか否かを判断し、毅然とした対応をしながら、現場の暴走の抑制が可能になります。

人、場所、時間を変えればクールダウンする

ノウハウ本の中には、「人を代える」「場所を代える」「時を代える」をすることが相手に対するクールダウン効果があるとのことで、対応時間が30分を超えれば人を交代するといった機械的なルールを推奨している例があります。

確かに、スタッフが失礼な対応をして既に信頼を失っていたり、そこまでではなくてもお客様との相性が悪かったりなどの場合には、人が代わることによってお怒りが終息する場合もあります。
しかし、ここで念を押しておきたいことは、謝罪だけで終わる場合は別として、そうでは無い場合にお客様が求めているのは問題の解決であり、そのための具体的なアクションである、ということです。この点は、正当なクレームだけでなく、悪質クレーム、不当クレーム、カスハラと言われるクレームであっても、求めることが「問題解決」から「要求の充足」に変わるだけで、基本的な構造は変わりません。これに対して安易に人、場所、時間を変えることを提案したら、「また最初から説明させるのか!?」「お前らの不手際なのに、たらい回しにするのか!?」「いつまで待たせるんだ!? 私は一刻も早く、今この場で解決して欲しくてわざわざ来ているのに、馬鹿にしているのか!?」と、更なるお怒りを買う可能性が高まります。

では、どうすれば良いのか?
筆者は、人、場所、時間を変える必要がある時には、問題解決のためであるとちゃんと伝えることが有効と考えます。

単に「お待ち頂いても良いですか?」だけでは、何のためにどの程度待てば良いのか分からず、言い訳を考えようとしていると思われることになりかねません。電話なら折り返しにする、店舗なら椅子に案内して飲み物を出す、といった対応もありますが、それもお客様のお時間を奪っている事実は変わりません。そのため、人、場所、時間を変える時には、必ずその理由を伝え、つまらないことで更なるお怒りを買わないようにしましょう。

なお、問題解決のためであることを伝える必要はありますが、お客様の納得や了解を得ることは必ずしも必要ではありません。ですから、以下のように説明したら、お客様の返事を待たず速やかに上司に交代したり応接室に先導したりすることで、流れを変えるようにしましょう。

  • ご要望は承知しました。私では判断ができませんので、上司に代わらせていただきます。
  • 契約に関する情報のやり取りもございますので、応接室でお話しを伺います。
  • お立ちのままお待たせするのは恐縮なので、確認でき次第、こちらからご連絡します。
  • 会社として至急検討するよう申し伝えますが、現時点ではお時間のお約束は致しかねますので、ご希望でしたら■■時の段階で一度ご連絡いたします。

声の大きさや話すスピードはお客様に合わせる

あるノウハウ本では、「こちらを弱い相手だと思わせないことが大事だから、大声を出す相手には負けずにこちらも大声を出すべき」といったことを推奨している例がありました。しかし、大声で怒鳴り散らす相手に対し負けじと大声で応答していたら、ただの怒鳴り合いです。また、100歩譲ってそれを是としても、そのような大声の怒鳴り合いはほとんどの従業員がしたくないはずです。
ただでさえ、感情的になっているお客様と対応する時は最大限冷静に対応しなければ、どんどん早口で語調が強くなってしまい、傍から見るとどちらがクレームをつけているのか分からないようになりかねません。万が一、そのような怒鳴り合いを録画や録音されてインターネット上に流出されてしまったら、企業イメージに対しネガティブな印象は避けられません。

筆者は、大声で怒鳴り散らす相手にこそ、落ち着いて、丁寧に、冷静に対応すべきであると考えます。実際以上に自分を大きく強く見せる必要はありません。それらが無くても威厳が伝われば相手は一目置きますし、威厳であれば、大声を出す必要もありません。落ち着いて冷静に、「他の従業員も怖がっておりますので、大声を出すことはお控えください」など、伝えるべきことは毅然として伝えましょう。

なお、大声を出すことと違い、自分に「威厳」があるかどうかは、特に激怒されているお客様を眼前にしては、自分ではなかなか判断ができません。ですから筆者は、自分の対応がどう見えるのか、どうしたら威厳を感じられるのかなどについて、専門家のアドバイスを受けながらトレーニングをすることをお勧めしています。
立ち居振る舞い、視線、声量、言葉遣いなどの要素の「見せ方」は、一つ一つはテクニックです。テクニックなので、それを正しく使えば威厳が伝わりますし、そうで無ければ伝わりません。ですから、予め専門家からトレーニングを受けることで、いざクレームが発生し、大声で怒鳴り散らし威嚇するような相手に対峙しなければならなくなったときに、例え内心の焦りは抑えられなかったとしても、外形的には冷静に威厳を持った行動を取れるようにすることで、怒鳴り合いにならずに済むようにしましょう。外形的に落ち着いて対応できるすることができれば、次第に、内心の焦りもコントロールできるようになって行きます。

クレーマーに付け込まれるから共感はNG

このように書いているノウハウ本もありますが、共感するか否かは、お客様のご主張・ご要望に対する自然な感情であり、むしろ、眼前のクレームを乗り越えることを優先して自然な感情を否定し、「左様でございますか」「そう思われたのですね」と意味のない相槌ばかり打っていては、こいつらには何を言っても無駄だ、こいつらは根本的に客を大切にしようという気持ちが無い、と見限られ顧客の離反を招きます。
ですから筆者は、人としての自然な喜怒哀楽に共感できるのであれば(特に喜哀楽)、共感のメッセージを伝えてあげた方が、特に正当なクレームの場合には収束に近づくと考えています。

一方、不当クレームやモンスターカスタマー、いわゆるカスハラと言われるような対応では、共感すると「なら▲▲をしろ!」と、要求を飲ませようとしてくることがあります。ですがこれは、是々非々で対応する、つまり、それはそれ・これはこれと割り切って対応すれば、特に問題はありません。

具体的には、以下の様に毅然とお断りしましょう。

  • 心情的には共感できますが、特別な対応はいたしかねます。
  • お気持ちはお察ししますが、対応については、この場では回答いたしかねます。
  • お怒りの事情は分かりましたが、社内規定上、上司や法務部に確認しなければなりませんので、少々お時間をいただきます。

非を認めたら賠償責任が生じる(または、裁判で不利になる)

クレームの専門コンサルタントを名乗る人の中にも、このようなアドバイスをする人がいます。
しかし、賠償責任は第一に契約上の賠償義務の有無で規定され、次いで、法律上の義務(例:不法行為に対する損害賠償責任など)の有無で決まります。どの程度非を認めるかにもよりますし、詳細は弁護士などにも確認いただきたいですが、お詫びしたからと言って直ちに損害賠償責任が生じたり、お詫びしたことが証拠になり裁判で不利になったりする、という訳ではありません。

とは言え、相手も人間なので、「責任を認めるようなことを言っていると思ったが、結局責任は取ろうとしない」などと思われたら、ますます腹を立ててしまい、話がこじれることになりかねません。
ですから、不要なトラブルを避けるため安易に非を認めるような言動は避けるべきですが、一方で、責任回避のため過剰に警戒し、本来はするべき謝罪までせずに押し通そうとし、更なる炎上をさせないように注意しましょう。

事実確認は徹底的に行う

クレーム対応やカスハラ対応と言うと、徹底した事実確認を推奨するコンサルタントもいるようですが、筆者は、必ずしもそうすることに賛成できません。
理由は、大きく下記の2点です。

徹底した事実確認には相応のコストと時間がかかる

状況を正しく判断できる責任者が事実関係を追跡調査し、スタッフからもヒアリングして行くとなると、薄利多売のビジネスの場合などは特に大きなコスト負担となります。また、コストは必要経費と考えたとしても、その間は責任者の時間が取られることになり、本来の管理業務や他のお客様への対応が疎かになりかねません。

必ずしもお客様が正しく状況把握できている訳でも、説明できる訳でも無い

お客様はその商品やサービスの専門家ではないため、悪意が無くても、状況把握が間違っていたり説明が不十分だったりすることは少なくありません。また、自社がちゃんと説明をしていたとしても、お客様が聞こえていなかったり理解していなかったりということしょっちゅうです。
そのような中、企業側で徹底的に事実確認をしたとしても、納得性の高い意味のある結論とならない場合もあります。


筆者の知っているある通販会社では、行動指針として「お客様を信頼する」と定め、汚破損系のクレームは、いちいち事実確認せず速やかに交換対応している例がありました(交換対応と別建てで、内部的には原因究明と対策立案は行っていました)。
もちろん、ゴネた人だけが得をすることを許しては、その他大勢のお客様への背信行為となります。しかし、その会社では全てのお客様に交換条件を開示し「安心して買える」ということを伝え、実際、ちょっとした心配に対してもスムーズ交換することで、クレームを払拭するとともに高い顧客満足度を確保していました。

暴言、暴行、乱暴行為、警察や弁護士への相談などの場合には、しっかりとした事実確認が必要になるでしょう。しかし、そうで無い場合にまで、いちいち「言った」「言わない」といった細かな点まで確認し、自分達に責任が無いことを立証することにどのような意味があるのか、事実確認の前にしっかり検討することをお勧めします。

名前は個人情報なので伝えない

本名を伝えるか、どこまで伝えるか(イニシャルのみ、苗字のみ、フルネームなど)、などについては、個々の企業が決めるべきことです。

しかし、クレームに端を発してお客様に名前を訊かれた際、「個人情報なのでお答えできません」などと真っ向から跳ね除けようとすることは、火に油を注ぐ結果になるため、あまりお勧めはできません。

個人的には、居酒屋などで時々見かける『花ちゃん』のようなニックネームが好印象ですが、クレーム対応の場合、正当なクレームでも悪質クレームでもカスハラでも、余りカジュアルなニックネームだはやはり火に油を注ぐことになります。同様に、『花村』といった名字だけや『KH』といったイニシャルでも、ちゃんとした名前を教えろと、更なるお怒りを買う理由になりかねません。
例え個人情報を理由に断ったとしても、お客様はクレームをつけているのであり、それをお客様自身が正当な内容だと思っていればいるほど、責任の所在を明確にするためクレームをつけた相手の名前や職責を確認するのは当然のことです。その確認に対し、回答を拒否するようなシチュエーションは、それ自体が顧客満足度を下げることになります。

筆者がお勧めなのは、本名を明示しないのであれば、従業員一人ひとりに予め用意したビジネスネームを伝えることです。お客様が求めているのは、責任の所在の明確さです。例え本名では無かったとしても、原村=花村のように一意に特定できるビジネスネームを伝えれば、責任の所在は明確になり、余計な問答を回避することにもなります。

上司に代われと言われたら、「上司に替わっても私と同じ対応になります」と断る

こういったお断りの向上を一次対応スタッフが伝えることは、あまりお勧めできません。
経緯の是非はともかく、お客様はそのスタッフの対応にご不満を感じたため、上司への交代を要求されています。それに対し、上司本人でも無いスタッフが、「上司に替わっても私と同じ対応になります」と言い切って断ることは、顧客満足度を大きく下げ、離反を招くことになりかねません。不幸にして顧客対応のスキルや経験の少ないスタッフが上司への交代を要求され、上記のように応えたことで更なるお怒りを買い、怒鳴り散らされたりしたら、そのスタッフの退職に繋がる可能性さえあります。

会社として上司への交代をしないという運用を採っているのであれば、ストレートに「社として、最初のスタッフが責任を持って対応したうえで、上司に報告するようになっております」などと断るのが良いでしょう。
なお、筆者は顧客満足の観点から、お客様の要望を真っ向からNOと回答するシチュエーションは、できるだけ少ない方が望ましいと考えております。そのため、店長や営業所長などの実際の責任者が対応しない場合であっても、専門の教育を受けたスタッフを会社として正式な担当者と任命し、『サービスマネージャー』などの名前で責任者対応をしてもらう、といった運用をお勧めしています。任命プロセス、処遇、教育など検討項目はありますが、正当なクレームにもカスハラにも対応できる高い専門性が蓄積されるので、非常に有効な運用だと考えます。

「貴重なご意見として承ります」と受け止めれば収束する

これも、様々なシーンで聞くフレーズですが、これで上手く収束できたケースがどの程度あるのでしょうか。

一昔前ならこのフレーズが通じることもあったのかもしれませんが、余りにも広く紹介され、そして、無責任に使われて来たため(承ったのに何もしない)、今は大半のお客様が、「“貴重なご意見として承ります”とはつまり、“何もしません”と同じ意味」という程度の理解しかしていません。また、先程も伝えた通り、正当or悪質に関わらず、お客様がクレーム対応で求めていることは基本的には問題の解決です。それに対する具体的な言及が無いまま「貴重なご意見として承ります」「貴重なご意見として承ります」と連呼するだけでは、クレームが収束しないばかりか、「貴重な意見ならちゃんと対応をしろ!」と、更なる炎上を招きかねません。

上記のような炎上を防ぐため、筆者としては、言葉のバリエーションを増やしより丁寧に伝えることをお勧めしております。例えば「貴重なご意見として承ります」の場合なら、以下のような丁寧な受け止めをすれば、意味としては同じであったとしても、与える印象は大きく変わります。

  • 十分な対応ができずに申し訳ありませんが、今回のお言葉を貴重なご意見として承り、何かできないかぜひ検討して行きたく存じます。
  • 今回ご指摘いただいて、恥ずかしながら初めてそのことに気付きました。責任を持って上司に伝えますので、またお気付きの点があればぜひご指摘くださいませ。
  • 本来は私どもが気付くべきところをわざわざご指摘いただき、誠にありがとうございました。この場ですぐに回答できないことが歯痒いばかりですが、お客様からの貴重なご意見として必ず上司に伝え、ぜひ、今後のサービスの参考にしたく存じます。

なおこれは、お客様の求めている問題解決にその場では応じられないということを、最大限丁寧に伝えているに過ぎません。ですが、正当なクレームにしろカスハラにしろ、お客様のご要望に応えられないのであれば、そのことは誠意を持って伝えるべきです。
一方、こういった丁寧な言い回しは、その場で突然考えてもなかなか思い付きません。そのような場合には、専門のコンサルタントに協力してもらいながら頻出クレームに対するトークリストを作ったり、それに基づいて従業員をトレーニングしたりすることで、誠実さが伝わるような対応を浸透させていくこともお勧めです。

クレーム対応では、こちらから切り上げることはNG

クレーム対応だからと言って「こちらから切り上げることはNG」などということはありません。ただし、現場判断で切り上げることをOKすれば、冒頭の例のように、自分の言動がクレームの原因になっているようなケースでさえ「ご納得いただけないならこれ以上の対応はできません」などと言い放ち、大炎上を招くようなことになりかねません。なので、組織としての方針やルールに沿った正しいプロセスを経たうえで、責任者または相応の権限を持っている者から、対応の終了を宣言するようにします。

もう一つ注意点としては、対応を切り上げるにしても、乱暴に電話を叩き切ったり追い払ったりしては、いたずらに恨みを買うだけですし、もし録画や録音をしてインターネット上に拡散されてしまえば、大変なブランドイメージの毀損になります。ですから、切り上げることともに代替案を丁寧に伝え、できればお客様側からそれを選んでいただくように対応しましょう。

例えば、以下の様な案内でお客様に判断を委ねるのも一法です。

当社としてできることは最大限提案いたしました。受け入れていただけるならぜひ対応したく存じますが、いただけないなら、残念ながらこれ以上対応はできなくなります。お怒りの点は分かりますが、なんとかご理解いただけないでしょうか?

なお、もし自社に一切瑕疵の無いカスハラであり、常識的に案内すべきことをしたうえで切り上げるのであれば、再クレームを牽制するためにも名刺や身分証の提示を求め、法務担当や警察に指導を仰ぐからとして要望は文章での提出を依頼し、応じて頂けないなら切り上げる、といった対応も有効です。

まとめ

今回、クレーム対応・カスハラ対応についてのよくある誤解10選を解説して来ました。
クレーム対応は突発的に発生し、個別性が高いので、対応する人には単なる業務知識だけでなく高い専門スキルが求められ、大きなストレスがかかります。そのため、本コラムの内容についても、単に知識として読むだけでなく、ぜひ、いつでも実践できるように社内で仕組み作りを行い、担当者には入念なトレーニングをしておくことを強くお勧めします。
もし、社内でそういった仕組み作りやトレーニングができない場合には、外部の専門家に参画してもらうことも有効です。当社でもクレーム対策は、お客様のご状況に応じて様々なご支援をしておりますので、ぜひお気軽にご相談いただければ幸いです。

著者のイメージ画像

花村広報戦略合同会社
花村 憲太郎(Kentaro Hanamura)

15以上の仕事を経験後、サービス業のカスタマーケア部門のマネージャーとして、従業員教育や顧客満足度の向上に関わる各種施策を担当。平行して、中小企業診断士としてスモール・ミドルへのコンサルティングを経験。その後、自社と社外の任意団体で広報を担当し、プレスリリース、記者会見、メディア対応などを実施。 社内外での広報PRと経営の支援を通じ、広報戦略と経営戦略との一体的な対応により、自社の魅力を継続的に社内外に伝えることが重要であるとの想いを強くし、起業に至る。