【PRイベント】ファンを作るポイントは? 事例を交えて、企画から運営まで解説
一方的に送って反応を待つプレスリリースと違い、PRイベントの実施は、実際の参加者と双方向のコミュニケーションの中で満足を確保する必要があるため、広報担当者にとって多少なりともハードルが高く感じることでしょう。
しかし効果的なPRイベントを企画・運営すれば、ブランド価値の向上、顧客満足度の向上、エンゲージメントの強化など、プレスリリースやWEB上でのコンテンツ発信だけでは達成困難な成果を実現できる可能性があります。
広報・PRイベントを成功させるには、イベントを行う目的を明確にし、適切な対象者に適切な方法でアプローチすることが重要です。
この記事では、広報・PRイベントを企画・運営し、成功させるための基本的な知識を紹介します。
【PRイベント】ファンを作るポイントは? 事例を交えて、企画から運営まで解説
広報・PRイベントの種類
広報・PRイベントは、メディア関係者に向けた発信や、今後の顧客となり得る新規営業先の獲得、すでにつながりのある顧客との関係強化、特定の興味を持つ層へのリーチなど、さまざまな目的を持って開催されます。また、その種類も、発表会・展示会・見学会から講演会・セミナー、授賞式、記者会見・プレス向けイベントなど多種多様です。
これらのイベントはそれぞれ独自の特徴をもつので、具体的な内容は目的やターゲットによって違ってきます。例えば製品を直接体験する機会を設けたい場合は展示会や見学会が、専門知識のシェアやディスカッションを目的とする場合は講演会やセミナーが適しています。
重要なことは、イベントの目的とターゲットにもっとも合致した形式を選択し、参加者にとって有意義で印象深い体験を提供することです。以下で、広報・PRイベントの主な種類を解説しますので、自社の目的とターゲットに沿った選択肢はどれか、考えていきましょう。
発表会・展示会・見学会
発表会・展示会・見学会は新しい製品や技術、オープンする施設の魅力を直接体験してもらうために開催されます。これらのイベントは、メディア、業界関係者、顧客など、幅広いターゲットに向けて開催され、相対的にハードルが低いため、開催する競合も多いことが特徴です。
来場者の属性も様々になり、商品・サービスの導入を検討している潜在顧客もいれば、情報収集のためにブースを回るメディア関係者もいます。そのため、複数の企業が出店する場にブースを出す場合は、来場者にとって有意義で充実した内容にすることに加えて、他の出店企業の中で自社の特長を分かり易くアピールし、ユーザーの興味を喚起するコンテンツを用意することが重要です。
講演会・セミナー
講演会・セミナーは、講師となるような有識者や著名人のほか、自社の社員が登壇して講話を行うイベントのことです。業界関係者や特定のテーマに関心を持った参加者が集まりやすいため、参加者がもつ課題や求めている情報にピンポイントでアプローチができます。
そのため、こういったイベントの場で、自社の専門知識や独自の取り組みを分かり易く伝えることで、参加者の知識を深めると同時に、主催者の専門性と信頼性をアピールする機会にもなり、自社のブランディングのために効果的なコミュニケーションの場となり得ます。
技術交流会・情報交換会
技術交流会や情報交換会は、特定の業界・分野における最新のトレンドや課題に焦点を当て、専門家や業界関係者が集まるイベントです。事業者自身が主催する場合のほか、複数のメーカーが協賛することで、地域の業界関係者を一堂に集めたり、業界を牽引する専門家を招聘する場合もあります。中小企業の場合でも、新しいアイデアや解決策を探す場としても機能し、参加者が自らの知識を更新し、業界内での自社の位置づけを強化するための重要な手段となります。
筆者の支援先でも、あるメーカーが油圧ショベルに関する地域の技術交流会を不定期で開催し、掘削や法面形成から樹木の伐採まで幅広い技術交換を後押しした結果、県外からも参加するなど多くの支持を集めるようになり、毎回、アタッチメントやウィンチなどのアイテムが購入され、買い替え時にも皆そのメーカーの油圧ショベルを選ぶようになった例があります。
地味な印象があるかもしれませんが、特に中小企業にとっては、参加者との親密な交流や課題の発見、新たなニーズの創出など、ビジネスチャンスを開拓しブランディングの強化に有効です。
周年記念イベント・セレモニー
周年記念イベント・セレモニーは、企業や団体が設立されてから記念となる年数などを祝うために開催される特別なイベントです。また、これらのイベントは企業や団体の重要なマイルストーンを祝うだけでなく、関係者への感謝を表明して、将来への展望を共有する機会ともなります。
特に周年記念イベントは、従業員、顧客、ときには一般の地域住民など幅広い対象に向けて開催されることにより、ブランドのイメージ強化やコミュニティとの関係構築につなげることが可能です。
授賞式
授賞式は、個人や団体がおさめた成果や貢献、才能を認め、表彰するイベントです。表彰を通じて、受賞者だけでなく組織全体のモチベーションを高め、その分野の進歩と発展を促します。
また授賞式はメディアの注目を集めることが多いため、上手く工夫する事により、特定の分野に対する新たな判断基準を提示する機会にもできるでしょう。
ユーザー交流会
ユーザー交流会は製品やサービスの利用者が一堂に会し、経験や意見を共有して、相互に学び合うためのイベントです。交流会を開催することにより、ユーザー同士のコミュニケーションを促して、製品やサービスに対する理解を深める機会となります。
またユーザー自身が製品やサービスに深く関わったり、コミュニティの拡大に関与したりすることで、ユーザーのブランドに対する愛着を高める効果も期待できます。さらに、ユーザーの声を製品開発やサービス提供の改善に活かすことで、ビジネスの成長にも寄与する可能性があります。
コンテスト・ワークショップ
コンテストやワークショップは、参加者が能動的に取り組み、学習や技能向上を目指すイベントです。参加型であることにより、創造性や才能を発揮する場として、参加者のモチベーションを高める効果があります。
アクセサリー制作やDIY体験会など趣味的なテーマのほか、外国語やプログラミングを学ぶなど、スキル向上を目的とした専門的なワークショップもあります。
また、知識が技能を一方的に伝えるだけでなく、メーカーがユーザーと積極的なコミュニケーションを取ったり、ユーザーどうしのコミュニティ形成に協力したりすることで、ユーザーとの共創やユーザー発のコンテスト・ワークショップを開催してもらうことができれば、ブランドへの愛着を育むことにも繋がります。
記者会見・メディア向けイベント
ここでは、事故や不祥事などに対する謝罪会見ではなく、自社の新たな取り組みの発表などの会見を指して説明いたします。
記者会見・メディア向けイベントは、企業や団体が新しいプロジェクトや製品、サービス、または重要な情報を公式にメディアへ向けて発表するための手段です。自社から発信することによって正確な情報を世に出すことができ、なおかつ自らのタイミングでメッセージを公開できます。
基本的に、対象者はメディア関係者に限定されるため、限られた時間の中で、正確かつ具体的に情報を伝えることが重要です。プレスリリースだけでなく、詳細レポートや実機を見せながら、口頭で説明をした方が伝わりやすい場合や、質疑応答が重要な場合に有効です。
記者会見が報道された場合、メディアを通じて迅速かつ広範囲に情報を拡散でき、SNSや公式サイトなど自社メディアに比べてはるかに広範な視聴者にリーチすることも可能です。これは製品やサービスに対する世間の興味を刺激し、ブランド認知度の向上や市場でのポジション強化につながります。
定例会
定例会は、月次、各月、四半期ごとなど、定められた周期で開催するイベントの総称です。
決められた周期で開催することにより、継続的なテーマについて深く掘り下げながら取り上げたり、参加者に事前課題を課したり、といった、他のイベントではできない取り組みをすることができます。また、主催者と参加者の距離も近まるため、ブランドに対する愛着形成に有効です。
見落とされがちですが、主催者側でも、部門や年齢層の横断型チームで継続的に取り組むことで、チームワークの醸成に繋がり易いです。
B to C企業がエンドユーザーを招待する例が多いですが、必ずしもそればかりではありません。B to B企業でも、ユーザー企業と定期的に交流する機会を作り、新製品のサンプルを見せながら生の声を聴いたり、地域住民との交流機会として、有効なイベントです。
PRイベントを実施する流れ
ここまで多種多様なPRイベントの概要を紹介してきました。
ここからは、実際にイベントを実施して成功させるには、具体的にどのような点に注意し、どのような手順で進めていけばいいのか、ステップごとに解説していきます。
企画の立て方
良い企画を立てるポイントは、常に、経営課題を出発点とすることです。
イベントの企画を考えるとなると、申込人数や来場者数などの営業目標や、イベントの形式や登壇者といった形式面から考える方がいらっしゃいます。もちろん、営業目標や形式面は重要です。しかし、そういったところから先に考えると、取組みに一貫性がなくなり、何のためのイベントだったのか、何を成し遂げたのか、分かり難くなります。
そのため、当社では常に経営課題の確認からスタートする、経営課題達成型アプローチをお勧めしています。
この具体的なイメージなどは、こちらをご確認ください。
会場の選び方
PRイベントの会場は企画や参加人数、アクセスなどを考慮し、予算とも照らし合わせながら決めましょう。
会場選びで考慮すべきポイントはロケーションの検討、会場の雰囲気などです。イベントのテーマや企業のブランドイメージに合った会場の雰囲気を選び、参加者の印象に残る空間を作り出すことも重要です。
また、最近ではインターネットでの同時配信や、インターネット配信のみのイベントも少なくありません。リアル環境での音響や照明設備の状況に加え、インターネット環境なども含めて確認し、そのイベントに合った会場を選びましょう。
見落とされがちなのは、同業他社のイベントが重なってしまうことです。医療業界などでは、事業者はもちろん、慣れているところは会場側でも気にしておしえてくれたりしますが、そういった慣習の無い業界の場合、つい無頓着になりがちです。筆者も勤務時代、ある地方会場で発表イベントを行った時、地方だからと油断して競合確認を怠ったらバッティングになりかけたことがあります。その時は、たまたま会場ホテルの営業さんが教えてくれたので辛うじて調整ができましたが、そうで無ければ集客が大きく減少していたかもしれず、以来必ず、同日に近隣会場で競合イベントがないか確認しています。
集客の仕方
PRイベントに参加してくれる人を集めるため、ターゲットに対して集客を行います。
考えられる手段はSNSやメールマガジン、プレスリリース、各種告知サイトなど様々なものがあります。店舗や営業所がある場合はポスターも有効な手段です。どこか1点に絞るのではなく、複数の手段を通じて、できるだけ広く情報を拡散するようにしましょう。
InstagramやFacebookなどのビジュアルに強いSNSは、イベントの雰囲気を伝えるのに最適です。X(旧Twitter)は短いテキストでの情報共有に適し、イベントの情報更新やリマインドとして役立ちます。少し手間はかかりますが、何度か開催実績のあるイベントなら、そのダイジェスト版動画をYouTubeで公開するのも有効です。
筆者の経験上、集客においては以下のポイントを押さえることが重要です。
告知は一度だけでなく、何度も繰り返し告知する
日時、メインテーマ、メイン登壇者など、主要な情報が決まったら、その時点で告知しましょう。そのうえで、会場、サブテーマ、ゲスト登壇者などが決まる都度、アップデート情報を告知して行くと良いです。また、SNSではイベント準備の様子を投稿することでフォロワーの興味を喚起しつつ、早期申し込みやグループでの参加を促す割引制度を設けることも有効です。ターゲット層の中から自社SNSの投稿を拡散してくれる人が現れたら、信頼性と興味を高められるでしょう。
集客手段の特性を考慮する
SNSの場合、イベント直前に急に始めてもインプレッションは伸びません。そのため、SNSのフォロワー限定の特典を付与するなどし、次回以降のイベントに招へいするなど、中長期での導線を考えましょう。また、YouTubeであれば自社サイト内でも公開することで、YouTube側からだけでなくイベントに興味を持って自社サイトを訪問した人にも見てもらうことができます。
B to Bのビジネスの場合、アナログですが営業を通じた個別説明と参加依頼が有効です。広く消費者に知ってもらうため一人でも多くの参加者を確保することが重要なB to Cと異なり、B to Bは、興味半分で参加する決裁権の無い参加者を増やすよりも、数は少なくても成約可能性の高い参加者を集めることが重要です。そういった意味でも、相手の会社やビジネスを深く理解している営業がイベントの内容を具体的に説明することは、集客と参加者の興味拡大を両立する極めて有効な手段です。
登壇者にも集客を依頼する
一般的に登壇者は、自社よりも知名度や専門性において優位性のある人や会社が選ばれるため、集客に協力してもらえたら非常に効果的です。遠慮して依頼を躊躇する人もいますが、それは非常に勿体無いですし、結局、参加者が少ないことが一番失礼です。
登壇者に集客への協力を依頼する報酬が高額になるのではないかと心配される方がいますが、必ずしもそうとは限りません。登壇者との関係性、オファーのルート、その他の要因によりますが、例えば自社がユーザー側企業であれば、知名度のある大手が登壇してくれる可能性もあります。
筆者の勤務時代には、自社がユーザーとなっているプロダクトの中で、対外的なセミナーを行っているメーカーを探し、テーマ感など合っているところに共同セミナーをオファーしていました。あっさり断られたり高額の出演料を提示されることもありましたが、露出機会を探していた大手メーカーなどは、これまでの自主開催セミナーの実績を見せたり、自社で告知文や告知ツールを作り登壇者の事務処理負担を最小化し、参加者リストを共有することを確約したたりした結果、無償で登壇してくれたところもありました。
イベント開催
イベント開催までにイベントの内容、資料、人員配置などをつめておく必要があります。まずは、イベント開催前に確認すべき項目をすべてリストアップしましょう。
一例を挙げると、以下のような資料は最低限必要です。
- 告知媒体別の最新の参加者リスト
- キックオフ~アフターフォローまでの日単位のスケジュール
- イベント当日の分単位のスケジュール
- 会場の機材とレイアウト(必ず現地を訪問確認しましょう)
- プレゼンテーション資料(必ずバックアップを用意しておきましょう)
- スタッフの役割とレポートライン(事前に必ずリハーサルを実施しましょう)
- 持参物、服装、注意点、配布物などのチェックリスト
- 緊急時の対応計画、通信手段 など
特に、重要なゲストには個別の対応を行い、好印象を持ってもらえるよう努めます。
そのためには、受付カウンターの準備が整い、参加者リストや名札、参加証などが準備されていることも必要です。
実施後のフォロー
PRイベントでは簡単で良いので参加者にアンケートを取り、反省点の振り返りや費用対効果の分析を行うことで、次のイベントに活かしましょう。ここで集めた参加者のフィードバックを次回以降のイベントに反映させていきます。
忘れがちですが、登壇者や運営スタッフに対し、最大限の感謝のメッセージを送ることも欠かせません。イベントの規模や内容にもよりますが、経営陣から直接声掛けできるならそうしましょう。
実施後には参加者に対して、メールやアンケートを送るのが一般的です。また自社サイトやSNS上で写真付きの開催報告をアップして、どれだけ話題化したか反応を見るのも良いでしょう。
イベントによっては、『参加特典』として何らかのインセンティブを送りつつ、参加者の興味の度合いが高いうちに購入を促すのが(B to Bの場合は商談を設定することが)有効な場合もあります。
最後に、イベントの成果やハイライトをまとめた報告書を自社の社員や参加者、関係者に対して提供します。これによりイベントの成果や学びを内外に共有し、次回への期待感を高められるでしょう。
PRイベントでこんな時どうする?
イベントを行うときには、多岐にわたる要素を検討しなければなりません。またイベントを初めて行う場合、予期せぬ事態が起きる可能性もあるでしょう。
ここからは、あらかじめ知っておきたいPRイベントのポイントについてさらに詳しく解説していきます。
顧客管理はどうする?
イベントを通じて新規取引先の獲得や既存顧客との関係値を高めたい場合、一度きりのイベント開催にとどまらず、長期的に接点を設けることを目指し、参加者のリストを作りデータベースに蓄積します。この時、受付で記名してもらっていては、記名漏れや汚字で読めないなどによりリストが不完全になりやすいですし、受付の負荷も嵩みます。そのため、ネットを使えないユーザー層が対象などの場合以外は、できるだけ申込情報から予めリストを作り、当日は参加チェックだけで済むようにしましょう。
イベントを開催したら、受付やアンケートで回収した情報をもとは顧客データベースに蓄積します。そして、顧客の属性や興味の度合い、購入実績など応じた参加後の感謝のメッセージを送るなど、積極的なフォローアップを行いましょう。また、次のイベントの際も、特別割引や限定商品を紹介するなど、興味を持ってもらえる特典を考えます。
一度イベントに参加してくれた顧客に対しては、イベント以外のものであってもニュースレターなどで価値のある情報を提供し、継続的にアプローチを続けることも有効でしょう。これをきっかけに継続的なコミュニケーションをとって、顧客との接点を増やしていくことが重要です。
特典やノベルティはどうする?
PRイベントでは企業やブランドのイメージと一致している特典やノベルティを提供することにより、参加者にポジティブな印象を与えられます。実際に過去に評判が良かったものなど、参加者に実際に使ってもらえそうなアイテムを選ぶことで、ブランドに愛着をもってもらうことも期待できるでしょう。
特典・ノベルティを選定する際には、大量発注によって単価削減を試みるなど、イベントの予算を超えないための配慮も必要です。なお、配布するアイテムに著作権や商標が関連する場合は、必要な許諾を得ているか必ず確認します。法的なトラブルを避けるためにも、この点は注意が必要です。
また、実物商材ではなくても、特典・ノベルティになるものはないか検討します。例えば、テック系商材の場合はサポート期間の延長、情報系商材の場合は組み合わせの拡大、サービス系商材の場合は利用回数の増加などがよくあります。いずれも、新規獲得に比べて少ないコストで提供でき、ブランドに接する時間を拡大できます。
トラブルが起きたら?
PRイベントを実施する際には、事前に起こり得るトラブルを想定し、それぞれに対する基本的な対応方針や初動などを決め、関係者に周知しておきます。
またトラブル対応のための役割分担を明確にし、各分野での責任者を決めておくことも不可欠です。対応方針を決めておいても、予想外のトラブルの可能性をゼロにすることはできません。ですから、そういった場合には迅速に責任者まで状況が報告され、必要なコミュニケーションがとれるよう体制を整えておく必要があります。
もし実際にトラブルが発生したら、イベントを止めないように対処することも重要ですが、必ず事後に参加者、登壇者、運営スタッフなどからのフィードバックも回収し、今後の改善に役立てましょう。
これにより、常にイベントをアップデートして参加者の満足度を保つことができます。
【実例】参考になるPRイベントを紹介
昨今では、さまざまな形式のPRイベントが日々盛んに開催されています。
ここでは特に興味深い成功例をいくつか紹介しましょう。
株式会社ワークマン(発表会)
株式会社ワークマンは作業服の機能性を証明するため、「過酷ファッションショー」と銘打つイベントを開催しました。
本イベントでは、高圧ホースと巨大扇風機を使って暴風雨を再現し、作業服の防水性・防寒性・撥水性を実証しました。タレントやインフルエンサーが過酷な環境でモデルを務めたこともあって、話題性を高めることに成功しています。
通常のファッションショーではありえない過酷な環境の中でも楽しさを演出し、厳しい条件下での製品の機能を実証することで、顧客への信頼性を高めた事例です。
AGC株式会社(周年記念イベント)
AGC株式会社の創立110周年を記念して行われた「FEEL! GLASS」は、ミラノデザインウィークで発表された全作品を再構成して、東京・表参道で展示した社外向けの企業周年イベントです。
このイベントでは、AGCの110年にわたる産業・社会貢献の歩みやガラスの未来技術も紹介しました。また、“映像を映す”ガラス、“薄く軽く強い”ガラス、“触感にこだわった”ガラスなどAGCの先進技術が、国内外で活躍するデザイナーによって作品化されています。
業界関係者だけでなく一般ユーザーも参加させ、普段触れる事のできない最先端技術を使った美しいガラスオブジェにより、見た目の美しさと知的好奇心を刺激し、多くの話題を集めました。
株式会社PR TIMES(授賞式)
株式会社PR TIMESは、プレスリリースの可能性拡大に貢献した企業と担当者を讃えるために「プレスリリースアワード2022」を開催しました。
このアワードでは日本国内で発信されたプレスリリースが審査の対象となり、SDGsに関連した発信やイベントに関連するものを含め、計1,412件のプレスリリースがエントリーしました。その中から社会性・公共性・共感性・将来性等を基準に、最終審査会の議論の末、受賞対象に選ばれたのは10社でした。
プレスリリースの可能性を拡大するイベントとして、広報関係者から注目を集めました。
Salesforce(ユーザー交流会)
Salesforceはユーザー交流会として「北海道ユーザー会」や「神奈川ユーザー会」など、地域ごとのイベントを開催しています。このイベントはサービスの活用方法や製品の機能紹介、情報交換を目的としており、特定のテーマに特化した回もあるようです。
Salesforceが主催するイベントはYouTubeでの配信、オンライン開催、会場での開催など、さまざまな形式で行われています。Salesforce全国活用チャンピオン大会も2011年から毎年開催されており、Salesforceの活用事例を共有し、ユーザー間でさらなる意見公開を促す場となっています。
農林水産省(コンテスト)
農林水産省が開催している「未来を創る!フードテックビジネスプランコンテスト」は、フードテック分野の認知度向上と、この領域での新ビジネス創出を目的としています。
具体的にはフードテックを活用した社会課題解決のアイデアを公募し、公開プレゼンテーションを経て最優秀賞・優秀賞・学生賞・特別賞を決定するというものです。
参加者には、専門家からのアドバイスや事業実現に向けた支援が提供されます。
まとめ
本記事では、PRイベントを企画・運営するコツについて解説してきました。
PRイベントの成功は環境と経営課題の理解、目的とターゲットを明確にした計画、事前準備を徹底した運営、そしてフォローアップの質にかかっています。もし、そういった流れに対応した経験がなく、実際のお客様を相手に失敗のリスクを冒すのが怖いといった場合には、他社の開催イベントにゲスト登壇させてもらい、準備から運営まで全て無報酬で対応することで、ノウハウを習得するのも方法です。
ただし、無報酬で手伝うといっても、主役はあくまでも主催者なので、自社の企画を反映させることはできません。なので、もしある程度の企画アイディアがあるなら、自社でやることを前提に、コンサルタントなどに相談しながら小規模で実施してみることをお勧めします。
本記事を参考に、ぜひ記憶に残るイベントを作り上げ、ぜひ、自社ブランドのファン拡大に取り組んでいただければ幸いです。