クレーム・カスハラへの対策Complaint Measures

「クレーム」とは、商品やサービスに不満を持ったお客様が、わざわざ手間暇かけてそれをお知らせしてくれることです。不満があれば黙って離れて二度と使わなければ良い中で、そうせずに改善のヒントを知らせて下さる訳ですから、企業にとってこれ以上有難いことはありません。
しかし、過大な要求や従業員への不当な攻撃によって、就業環境が悪化したり営業活動に支障をきたしたりする場合には、正当なクレームとは分け、「カスハラ」として毅然とした対策を講じる必要があります。

当社代表の花村は、コールセンターで15年以上にわたって、品質管理チームマネージャーとして、部下が対応した分も合わせると3,000件以上のクレームやカスハラに対応し、社内体制の構築、再発防止策の実施、従業員の教育などを行って来ました。現在は、こういった圧倒的な対策経験に加えて、中小企業診断士としての知見を活用し、クライアント企業が自立的に対応できるようにクレームやカスハラへの組織的な対策を支援しています。

基本方針の策定(ガイドラインの作成)

ガイドラインを作成する際に最も重要なことは、自社の経営方針を踏まえ、実態に合ったガイドラインを作成することです。どんなに立派なことが書いてあっても、自社の理念や事業特性を踏まえたものでなければ、絵に描いた餅に過ぎず、現実のクレームやカスハラに対しては役に立ちません。
また、もう一つ重要なこととしては、クレームやカスハラの排撃に偏重し過ぎないように、顧客対応全体の中で満足度向上とカスハラ対策の両立を目指すことです。企業にとってお客様は、自社に売上を与えてくれる唯一人の存在です。そのお客様のご不満に対し、正当なクレームには誠実に対応し、不当なカスハラには毅然と対応するための、バランスの取れたガイドラインにすることが重要です。
当社では、大きく以下の5つのステップにより、貴社の実態に合わせた実践的なガイドラインの作成の作成をご支援します。

  • まず状況を調査し、実態を把握する
  • なるべく早期に、経営幹部に対し実際のカスハラ事例を共有する
  • 発生状況を踏まえ自社にとってのカスハラを定義する
  • 基本方針を『ガイドライン』として明確化する
  • 経営者が自らの言葉でしっかりと発信する

対応マニュアルの作成

クレームやカスハラへの対策としてマニュアルの重要性はよく耳にしますが、真に重要なことは、単にマニュアルを作るだけでなく、どのようなリスクに対応しどのように運用するかといった枠組みを明確にし、その枠組みを組織に浸透させることです。マニュアルとは、対応の枠組みを組織に浸透させるためのツールです。

また、クレームやカスハラへの対応は様々な切迫したトラブルの連続なので、「正当なクレームには誠実に対応し、悪質なクレームには毅然と対応する」といった単なるスローガンレベルの指示では、ほとんど役に立ちません。
そこで重要になることは、経営層も関与しながらマネジメントの仕組みを構築することであり、「マニュアルではなくマネジメントの仕組みを作る」という発想の転換が必要です。

当社では、以下のようなマニュアル作成の支援や、貴社に応じた最適なマネジメントシステムの構築まで支援が可能です。
また、ご希望の場合は、ISO10002の構築支援も可能です。

  • チェックリスト
    案件やシチュエーションに応じて、確認すること、やること、やってはいけないことなどを一覧表にしたものです。咄嗟の場合に素早く確認するために有効です。
  • 業務手順書
    対応の打ち切り手順や警察への通報手順など、具体的なアクションを定めたものです。典型的なカスハラへの対応を共有するために有効です。
  • トークスクリプト
    会話運びの順序や具体的なセリフなどを整理したものです。電話対応だけでなく、窓口接客など説明する場面が多い業務でも有効です。
  • 動画マニュアル
    動作、表情、身だしなみなど、文章化しにくい情報を共有したり、遠隔地やシフトでの勤務の従業員に情報共有する際には、オンラインで参照できる動画マニュアルが有効です。

対策や業務フローの見直し

クレームやカスハラへの対応では、その場をやり過ごせれば良いという表面的なものではありません。
その場は何とかやり過ごせても、ちょっと違ったシチュエーションだと散々にやられるのでは、従業員にとっては悲惨ですし、企業にとってはリスクそのものです。クレームやカスハラが発生した時は、その真因を究明し、商品やサービスの改善に反映させ再発防止策を講じて、根本的な解決を目指すことが重要です。そのためには、自社に非の無い理不尽なカスハラであったとしても、自社の対策に改善点は無いのか、同様のカスハラの発生確率を低下させる方法はないか、といった視点に立って、俯瞰的に見直しをして行きます。

当社では、商品やサービスの提供プロセスを以下のような観点から多角的に確認し、対策や業務フローの見直すべきポイントの洗い出しの支援が可能です。

  • 業務フローとクレーム・カスハラの発生リスクの確認
  • クレーム・カスハラの発生後における管理プロセスの確認
  • 具体的な対策の有効性の確認
  • エスカレーションや部署間連携の確認
  • モニタリング体制の確認

従業員への教育・研修

  • ガイドラインやマニュアルだけでカスハラに適切に対応できるかと言うと、そうではありません。
    例えば、「●●の場合は毅然とお断りする」「▲▲の場合は複数で対応する」などとマニュアルで定めていたとしても、怒鳴り散らすクレーマーを相手にどうやって毅然と対応するか、複数でどのように対応するか、といった具体的なアクションを従業員がしっかりと身に付けていなければ、実践はできません。

また、カスハラにおいては、従業員が被害者にならないことが最も重要ですが、次いで重要なことは、毅然と対応しようとした従業員がお客様と揉み合いや言い争いになり加害者となってしまわないようにすることです。そのためには、組織として予防策を講じていくことは重要ですが、それでもトラブルが発生してしまった場合に、眼前のクレーマーにどう対応するのか予め決めておき、その対応が実際にできるようにアクションの伴う研修やトレーニングを行うことが不可欠です。

当社では、以下のような研修メニューの提供により、カスハラの中で具体的なアクションを経験し、どう対応すれば良いのかを身に付けていただくことを目指します。

  • 好印象を与える傾聴のポイントを学ぶ
  • クレームをカスハラにさせない、初期対応のポイントを学ぶ
  • クレームへの基本的な対応フローを学ぶ
  • 「上司を出せ!」「今すぐ来い!」など、典型例への対応を身に付ける
  • 対応打ち切りへの5ステップを身に付ける

※研修メニューについて※

知識研修だけでなく、ロープレなどアクションの伴う実践的な研修も提供が可能です。
具体的な内容は、ご要望に応じたカスタマイズなどにも柔軟に対応しますので、ご希望その他はお気軽にご相談ください。

相談体制の整備

  • あるコールセンターで、ハードクレームにより退職した従業員にヒアリングをしたときに非常に印象的だったことは、「ハードクレーム対応は嫌だったけど、それよりも嫌だったのは、上司や会社が守ってくれなかったこと」と言われたことです。

クレームやカスハラへの対応では、いかに理不尽な行為であっても、元をたどれば自分の誤案内や不用意な一言がきっかけになっている、ということも少なくありません。そのような場合には、つい、「自分も悪かったから、、、」と相談し難く感じてしまうことがあります。そのため、どのような状況であっても相談して来た従業員に対しちゃんと守ってあげる体制を整備することは、カスハラ対策として極めて重要です。また、相談される上司にとっても、適切な訓練や会社のバックアップは不可欠であり、それが無いままクレームやカスハラの対応を押し付けられ続ければ、上司の本来業務が滞ったり、場合によっては心を病んで休退職に追い込まれたりすることもあり得ます。

  • 相談体制構築の支援
    体制や案件管理方法の検討や相談フローの整理など、貴社に合わせた相談体制の構築を支援します。カスハラの件数が少ない場合の、予防的対策として有効です。
  • 定例対策会議への参加や運営
    カスハラが定期的に発生している場合、業務プロセス自体の見直しをしている場合、クレームやカスハラの対策だけでなく顧客満足度の向上を目指している場合などは、定例の会議体の中で対策を検討して行くことが有効です。
  • 相談窓口自体の受託
    クレームやカスハラが発生した場合の相談窓口を当社にて承ることも可能です。アウトソース型の受託だけでなく、プロジェクト型での支援も可能です(法律相談や交渉の代行はできません)。

ご相談はお気軽に

当社では、貴社の状況に応じて、組織的な対策ができるようにご支援いたします。また、ロープレや集合訓練も含めた従業員教育の提供もおこなっています。

まずは、貴社の課題感とすり合わせのため、お気軽にご相談下さい。

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