クレームやカスハラの対策は、経営層、管理部門、スタッフ部門でそれぞれ固有の役割があります。この役割を踏まえて組織的な対策を講じることで、クレームやカスハラは減少します。
クレーム/カスハラとは、商品やサービスに不満を持ったお客様が、わざわざ手間暇かけてそれをお知らせしてくれることです。不満があればただ黙って離れて二度と使わなければ良い中で、そうせずに改善のヒントを知らせて下さる訳ですから、企業にとってこれ以上有難いことはありません。
しかし、この時にお客様の不満が大きく、過大な要求や攻撃的な対応をして来る場合には、いかに自社に瑕疵があったとしても、それらの要求や対応は正当なクレーム/カスハラとは分けて対策を講じる必要があります。また、そもそも瑕疵が無いのにそういった要求や対応をする場合や、身体・施設・物品などに損害を与える場合には、カスハラとして毅然とした対応が必要です。
当社代表の花村は、これまでコールセンターで15年以上様々なクライアントを担当し、品質管理チームマネージャーとして毎月多くのクレーム/カスハラに責任者として対応を経験して来ました。部下が対応した分も合わせると、これまでに数千件のクレーム/カスハラ/ハードクレームを経験して来ました。
こういった経験や中小企業診断士としての知見に基づき、クレーム/カスハラに対して、経営、管理、現場の各レイヤーに対して、以下のように実践的な対策をご支援しています。
経営層の役割
クレーム/カスハラの対策において、経営に求められる役割は以下の3点です。
- クレーム/カスハラに対する定義と対応方針の表明
- 外部専門家も含めた体制構築と制度設計
- 定期的なモニタリングとレビュー
現場の負担を考えて「不当クレーム/カスハラには毅然とした対応を」と指示を出したら、逆にクレーム/カスハラが増えた挙句、業績にも悪影響が生じた、といったことはありませんか?
実はクレーム/カスハラ対応の現場は、「お客様が怒っている」というだけで全部カスハラ扱いできるなら、ミスをしても謝罪やリカバリをせずに済むので、一番楽なのです。しかし、上記の通りクレーム/カスハラは本来、自社の商品やサービスに対する不満を伝えてくれていることであり、例えお客様が外形的には怒っていたとしても、内容的には改善のヒントになるということはありえます。ましてや、自社に不手際や失礼があったのにクレーマーやカスハラとして扱ったりしたら、大炎上やお客様の離反は避けられなくなります。
経営の役割は、上記のような事態を防ぐため、何が自社にとってのクレーム/カスハラで、どこが正当or不当の分解点なのかを明確にし、具体的な対応方針を示すことです。また、外部専門家も含めた体制を構築し、それらの定義や方針が適切に機能しているかを定期的にモニタリングすることも経営の重要な役割です。
管理部門の役割
クレーム/カスハラの対策において、管理層に求められる役割は以下の3点です。
- 運用や業務フローの構築
- 業務文書の整備(規程類、マニュアル、トークスクリプト、チェックリストなど)
- 専門機関との連携(経営層、法務部、産業医、弁護士、警察、専門コンサルタントなど)
店長、センター長、マネージャーなどのいわゆる管理層の方からは、不当クレーム/カスハラへの対応で心身を害しているといった声を聞くことも、少なくありません。
しかし、管理層の役割はクレーム/カスハラを自らがクローズさせることではありません。会社としての対応方針に沿って、お客様に正当なクレーム/カスハラを安心して吐き出していただき、改善のヒントをいただくとともに、不当なクレーム/カスハラを峻別し縮小させることです。また、そのために運用や業務フローの構築、業務文書の整備、専門機関との連携といった役割を管理部門に集約し、現場の従業員がクレーム/カスハラへの対応に集中できるよう環境を整備することです。
もちろん、責任者として自らが対応する場面もあると思いますが、その場合であっても、個人のスキルではなく、他の従業員と同様に組織的な対応をすることが重要です。
スタッフ部門の役割
現場の役割は、以下の3点に集約されます。
- 実際の顧客対応
- 顧客対応結果のレポート(VOC:Voice of customerやVOA:Voice of Agentを含む)
- 顧客対応を行う従業員の育成(外部研修も含む)
不手際があったがお客様がそれほどお怒りの様子では無かったので、とりあえず謝って済んだと思っていたら、後で本社にクレーム/カスハラ手紙が届いた、といったことはないでしょうか?
表面的に怒って見えるクレーム/カスハラばかりなら簡単ですが、そうでは無いケースも少なくはありません。ですから、現場では担当者の経験や勘だけに頼らず(それも重要ですが)、会社としての方針やルールに沿ってクレーム/カスハラを見極め、初動対応し、正確な事実確認を行うことが不可欠です。また、対応についても、自らの不手際や失礼に気付いて誠心誠意謝罪したり、権限の範囲内でリカバリしたりするのは良いですが、それを超える場合には必ず、会社としての方針やルールに沿って対応をすることが重要です。
現場では通常、他にも多くのお客様の対応をしており忙しいので、クレーム/カスハラが発生してから急に上記の様なことを要求しても、対応困難です。そのため、日頃から朝礼などで定期的に会社方針やルールを確認したり、事実確認の手順をまとめたり、初動対応のロープレをやったりして、いつでもだれでも同じように対応できるようにしておくと良いです。
ご相談はお気軽に
当社では、クレーム/カスハラに対して、経営、管理、現場へとステップ・バイ・ステップで役割を整理し、組織的な対策ができるようにご支援いたします。また、ロープレや集合訓練も含めた従業員教育の提供もおこなっています。
まずは、貴社の課題感とすり合わせのため、お気軽にご相談下さい。